瓜生原 葉子

担当科目 経営学、公企業論

研究テーマ:行動変容マネジメント、ソーシャルマーケティング

 「より良い社会」とはなんでしょうか。様々な考えがありますが、私は、あらゆる社会課題が解決されており、一人残さず「誰もがwell-beingにすごせる社会」、「誰もが幸福を感じながらすごせる社会」ではないかと考えています。
そこに近づくためには、個人、家族やコミュニティ、非営利組織、企業、政府、多様な立場の一人一人が行動を起こすことが重要であり、それを支えるのが「行動変容マネジメント」です。
コロナ禍では「行動変容」という言葉を毎日のように耳にしました。「行動をしましょう」とよびかけられても、私たちはそう簡単には行動を変えれません。なぜなら、新たな行動を起こすことに不安や煩わしさを感じるからです。不安が低減され、それを上回る価値を感じなければ、行動変容は起こらないのです。
では、どうすればよいのでしょうか。望ましい行動を起こさなければいけない背景やもたらされる結果を知り、その重要性や価値を感じて納得し、さらには行動するための具体的な方法を知ったり、手にしたり、「できる!」という自信をつけることが必要です。
これを画一的に行うのではなく、態度や行動パターンが似ているグループを特定し、各々の行動できない理由や不安、行動動機を詳細に分析し、行動決定要因を明確にし、具体的な課題解決プログラムを策定、実行、評価する体系的な枠組みが「ソーシャルマーケティング」です。さらに、そのソーシャルマーケティングに、行動科学理論に基づく最適化モデルを組み合わせることで、組織内の様々な行動(新規事業を生み出す行動、SDGsを推進する行動)へも拡大し、あらゆる社会のためになる行動にも適用する考えが「行動変容マネジメント」です。

2021年4月、ソーシャルマーケティング研究のアジア・日本拠点として、「同志社大学ソーシャルマーケティング研究センター」を創設しました。社会に良い(social good)行動を増やすアプローチ方法を学際的・重層的・創造的に研究し、その知見を社会に実装することで、学術研究の進展と社会課題の解決・SDGsの達成に寄与することを志しています。

「ソーシャルマーケティング」、「行動変容マネジメント」は、決して無理に行動変容を促すことではありません。人々の声を聴き、共に考えることで、人々が自発的に行動したいとおもうような、人々に寄り添った実効性の高い施策を共創することが重要です。このようなプロセスを多くの人が携わることが社会を「より良く」するのだと思います。
一人一人が誰かのためを想って行動し,それが連鎖する優しさにあふれた社会になること,「ソーシャルマーケティング」や「行動変容マネジメント」がその一助になることを願って研究に真摯に向き合い、結果を社会に還元し,自らも社会で実践する良循環型の研究者であり続けたい,社会課題の解決に微力ながら貢献したいと思っています。