松本 宗谷

担当科目 ビジネス・トピックス

研究テーマ:証券市場の効率性に関する分析―流動性と価格発見―

私の研究領域は、金融論です。その中でも特に、証券市場の制度・取引ルールや投資家の投資戦略の違いがどのように株式や債券の価格形成に影響するかを明らかにすることに関心を寄せています。このような学問領域は、マーケット・マイクロストラクチャーと呼ばれ、近年盛んに研究されるようになっています。
 証券市場には、大きく分けて2つの役割があると言えます。1つめは、市場参加者が自由に証券を取引することができるように、常に低コストな取引機会を提供することです。これは、「流動性」と呼ばれています。流動性が高いことは、活発に投資がなされリスクの移転が円滑に行われるための必要条件と言えます。2つめは、「価格発見」と呼ばれる役割です。みなさんも日経平均やTOPIXといった言葉を日々のニュースで耳にしたことがあるかもしれません。市場参加者は、その価格の上下を見て、経済の先行きや景気動向がどうなるかを推察しています。このように、証券市場には投資家間に偏在する断片的な情報や思惑を集めて市場全体に伝達し、人々の意思決定を補助するという役割があると考えられています。言い換えれば、証券市場は集合知の場となっているのです。しかし、これら2つの役割は常に正しく機能しているとは限りません。例えば、2008年の金融危機の際には、投資家が一斉に証券を売却することで追加の売り注文が成立せず、流動性が損なわれてしまいました。また、バブル期においては、証券価格は実体のマクロ経済環境とは無関係に上昇を続け、正確な価格発見が行われていたとは言い難いものでした。
 これら2つの経済的役割をもって、証券市場が効率的であるかどうかを評価できるのではないかというのが私の研究アプローチです。現在は、ミクロ経済学の手法を応用した理論モデルや統計・データを用いた実証モデルで「流動性」「価格発見」を分析することに取り組んでいます。証券市場の優劣を定量的に評価できれば、どのような政策・取引制度を策定すべきか、証券市場全体の効率性を高めるための議論を行うことができるようになると考えています。