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小島 秀信

担当科目
 市場と人間、ポリティカル・エコノミー

研究テーマ:市場の社会経済学的研究

自由市場社会をアトミスティックな個人主義的社会だと捉える点では新古典派経済学もマルクス経済学も同根であり、きわめて根強い一つの経済学的な「通念」になっていると言っても過言ではありません。しかもその「通念」は、経済政策や経済学者たちの言説などを通じて、現実に対して大きな影響を及ぼしています。1990年代以降の自由市場化の流れとともに自己責任原則が唱えられるようになったのも故なきことではないのです。しかし、私は、市場社会が安定的に、そして効率的に維持されるためには、その基底には共同性の領域が伏在していなくてはならないと考えています。近年、そのことを思想的かつ実証的に論じているのが、ロバート・パットナムらによるソーシャル・キャピタルの議論でしょう。ソーシャル・キャピタルの概念は、信頼関係や規範といった人格的な共同性の領域が自由市場の基底に伏在し、市場社会を支えていたのだということを明らかにしたのです。
私の現在の研究テーマは、この経済関係を支える人格的共同性という新たな視座を、社会経済学的に、また社会哲学的に討究していくことです。そもそも自由市場と共同性とを結び付ける議論については、経済学説史的に言えば、既にアダム・スミスの『国富論』と『道徳感情論』との関係性(いわゆるアダム・スミス問題)という形で、経済学が生誕した18世紀以降、常に問われてきたものです。経済学の父たるスミスから、エドマンド・バーク、F・A・ハイエクへと至る、偉大な自由主義思想家たちの系譜は常にそうした経済的自由主義と人格的共同性との関係性についての考察を深めてきました。この共同性と自由市場社会との融和という考え方――私は「共同性的市場主義」と呼んでいますが――は、共同性を掘り崩すグローバリズムへの重要な批判的視座を与えてくれるという点でも極めて今日的な研究課題であると思います。

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