このページの本文へ移動
ページの先頭です
以下、ナビゲーションになります
以下、本文になります

柴田 喜悠

担当科目
 アカデミック・リテラシーⅠ、ビジネス・トピックス

研究テーマ:技術変化が企業・産業にもたらす影響

 私はこれまで、技術の変化が企業や産業に与える影響について研究を行ってまいりました。具体的な対象は土木における建設機械と建設産業であり、現在は情報技術を活用したICT施工のような新たな技術によって変革を遂げようとしている建設産業において、技術の変化をテーマに研究を行っております。現在建設産業は深刻な人手不足となっており、生産性の向上が急務となっている中で、高度な建設生産方法を取り入れていくことによって、大きな生産性向上が見込まれています。この取り組みは国土交通省もi-Constructionという名称で推進しており、建設産業に関わる多くの主体が様々な活動を展開しています。ここで、重要な役割を果たしているのが建設機械メーカーであり、日本の建設機械メーカー最大手のコマツに着目して研究を行っています。
 このような動きがある一方で、ICTを活用した施工の普及はそれほど進んでおらず、課題も多いです。ICT施工を行うためには高価な機械や新たなスキルが必要となり、中小企業が多い建設業においてその負担は軽くありません。様々な課題を検討するにあたっては、戦後の建設産業における技術革新の産業史を検討し、そのなかに現在の状況を位置づけることで、歴史的に今抱えている課題とそのメカニズムを明らかにすることが、現在取り組んでいる研究課題となっています。
 例えば、終戦直後の日本では十分な建設機械を質、量ともに生産することができず、欧米からの技術導入を通じて、各建設機械メーカーは技術を蓄積していきました。その後、建設機械メーカーの競争を通じて、日本の建設機械は質、量ともに世界トップクラスの水準となります。その過程において、建設産業の在り方は建設機械の変化に伴って変化しました。具体的には、建設機械の保有主体が大手建設会社から、中小建設会社へと移っていくことになり、これは建設産業において構想と実行が分離していく過程であり、重層下請構造という分業の在り方として定着していく過程でもあります。現在はレンタル会社を利用して建設機械を調達することも増え、建設産業に関わる主体も多くなっています。その中で、いかにしてICT施工を実現していくか、どのような主体が先導していくのかについて、研究を進めております。

教員一覧(学部)
教員一覧(研究科)