大日方 隆
- 担当科目
- 財務会計論、会計基準論、情報会計論
研究テーマ:会計制度の経路依存性
会計制度は,一定の会計規制の枠組みのもとで,会計基準を実践適用することによって運営されている。会計制度の「現在の姿」は,会計規制と会計基準の組み合わせ,あるいは絡み合いとして記述され,説明される。この会計制度は,当然に,最初から「現在の姿」であったわけではなく,もちろん,きょうこの瞬間に突如として出来上がったわけでもない。「経路依存性」の研究は,過去の状況・状態に規定され,あるいは依存して,現在の状況・状態が存在するという変遷過程をあきらかにするものである。
いま,前世紀と今世紀とに時代を2つに分けて考えてみる。前世紀では,ひとびとは(Bではなくて)Aの状況を選択した。そのAの状況は,今世紀にとっては制約条件となって,今世紀ではXかYかが選択肢となり,今世紀では,Xを選択したとしよう。「A→X」という変遷は,ひとつの事実であるが,今世紀のXという状況は,必然と呼べるのか,それが問題である。「経路依存性」の研究では,その問題を扱う。
上記の例で,前世紀ではBという状況も選択できたとする。もしも前世紀にBを選択していたならば,今世紀に選ぶことができる状況はαとβであり,最適解としてβが選ばれると仮定する。このとき,「B→β」という仮想現実は,ただの空想であるのか,それとも,「ありえた,もうひとつの歴史」であるのかが重要な問題になる。もしも,前世紀において,ほんとうならBのほうが望ましかったにもかかかわらず,AとBを十分に比較考量しなかったためにAを選んでいたとしたら,どうであろうか。さらに,現実のXよりもβのほうが今世紀の人々にとって幸せであるとしたら,どうであろうか。
会計制度の経路依存性の研究は,会計規制と会計基準との絡み合いについて,実際に起きたことがどれほど必然的なのか,あるいは,納得できるものなのかを問うている。「現在の姿」を理解するには,歴史は重要(History Matters)である。
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