河合 隆治
- 担当科目
- 戦略管理会計、原価計算論、海外ビジネスⅡ、消費者問題
研究テーマ:財務・非財務情報を併用した業績測定の研究
会計学領域は大きく財務会計と管理会計に分けられます。私の研究領域は管理会計ですが、その中で特に組織内部のさまざまな活動や組織の戦略と関連付けた業績測定の問題について研究しています。管理会計領域では、主に利益、収益、コストといった財務情報を用いて企業経営をみていきます。この情報により、企業活動がどれくらい利益を生み出しているのか、どのあたりに無駄なコストがあるのかといったことを集約的にとらえることができます。しかし、単に財務情報だけをみて企業経営を行うと、会計数値だけが一人歩きし、現実に何が起こっているか把握することができず、時として重大な問題を見落とすことがあります。例えば、潜在的に重要な品質問題を生産現場でかかえていたとしても、そういった兆候が財務情報に現れるのは問題が顕在化して、企業が大きなダメージを受けてからとなります。
企業内には財務情報以外にも有用な情報があります。例えば、品質に関する情報、生産管理に関する情報、お客様に関する情報、従業員に関する情報、研究開発に関する情報などです。こういった財務情報以外のこれらの情報を非財務情報と呼びます。最近では財務情報と非財務情報をうまく組み合わせながら企業の業績を把握するシステムが注目されています。非財務情報を測定することにより、より具体的に経営がどうなっているのかをとらえることが期待されています。しかし、非財務情報も問題がないわけではありません。非財務情報の種類は無数にあり、それぞれの企業が自らの判断で測定する情報を選択しなければなりません。また、これらの情報を過度に重視すると、時には財務状況が悪化する場合もあります。そのため、財務情報と非財務情報の両者をうまく利用する必要があります。
財務情報と非財務情報はただ並列的に用いればよいという単純なものではなく、両者をうまく関連付けなければなりません。これらをつなぎ合わせるヒントはいくつかありますが、未だどのようにこれらの情報を測定し、管理するのかについては結論にいたっていない状況です。これらの情報の関連性およびこれらの情報をうまく活かしていく方法について考えていかなければなりません。この研究を通じて、もう一度財務情報と非財務情報の特徴や役割について深く考えたいと思っています。
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