以下、本文になります
木村 多嘉子
- 担当科目
- アカデミック・リテラシーⅠ、ビジネス・トピックス
研究テーマ:経済史、計量体格史
私は、経済史のなかでも計量体格史研究を専門に研究しています。具体的には、20 世紀前半において農村に暮らす子どもたちの身体的な成長と環境要因との関係について研究を行っています。身長や体重といった身体的特徴の大部分は遺伝によって決定されますが、その成長過程は環境要因にも大きく影響を受けることが分かっています。例えば、同じ両親を持つ兄弟姉妹のように遺伝的背景が共通している個体間であっても、異なる環境に身を置くことで最終的な身長にばらつきが生じます。身体成長を左右する環境要因には、代表的なものとして食習慣や喫煙習慣、労働環境・住環境を含む生活様式などが挙げられますが、これらは言い換えると生活水準の質であり、生活水準改善の結果が身体成長の向上として反映されると考えられます。
主な研究内容として、成長期に当たる子どもの身長を分析対象に据え、成長曲線の決定要因を明らかにするべくパネルデータ分析を行ってきました。とくに、遺伝的要因を考慮したうえで、妊娠中の母親が過剰な肉体労働環境に晒されたとき、出生後の子どもの身体成長にどのような影響が、どれほどの期間に渡り反映されるのかについて推計しています。これまでの研究で、特に妊娠初期の女性が田植えや除草作業といった労働負荷の強い農作業を行うことで、胎児の出生後少なくとも 10 年程度低身長として反映されることを明らかにしました。今後も、身体の成長曲線にどのような環境要因が作用するのかについて研究を重ねていこうと考えています。
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