吉川 英一郎
- 担当科目
- 貿易業務論、貿易契約論
研究テーマ:企業法務から見た国際取引紛争の予防と解決
一言で私の関心事を表すなら「国際ビジネス法務」です。それはトヨタやパナソニックといった民間企業の事業を守り支えるものであり,割と範囲が広いものです。現代社会においてビジネスのグローバル化が進み,国際的な取引はありふれたものとなりましたが,それにつれてビジネス紛争も国際化し複雑化しているのです。 例えば,国際的訴訟が国内の訴訟と違うことを端的に示す特徴としては,国際裁判管轄と準拠法決定の問題が挙げられます。「紛争が持ち込まれた国の裁判所に裁判を遂行する権限があるのかどうか」というのが国際裁判管轄の問題であり,「紛争を解決するにあたってどこの国の法律を基準とするか」というのが準拠法決定の問題です。国際企業はそのような争点をも十分理解しなければならないのです。
さらに,「どこの国の法律を基準とするか」という問題に関連して言えば,「国際契約に適用される契約法」とはどのようなものが望ましく,しかし,実際には(例えば,アジアのEMS企業と日本企業との間の契約には)どのような法が適用されることになっているのでしょうか。日本が2008年7月に「国際物品売買契約に関する国際連合条約(いわゆる,ウィーン売買条約,CISGと略される)」に加入したのも,その1つの答えでしょう。
また,国際企業は,新規・新種の取引に合わせて,諸条項について工夫しながら契約書をドラフトするわけですが,それも将来のビジネス紛争を予防する一手であると言えそうです。
私の研究は,企業法務の視点から,さまざまな国際ビジネス紛争(特に国際契約トラブルをめぐる訴訟や国際商事仲裁など)を眺め,その予防や解決方法を,実務的に検討するところにあります。企業が当事者となる紛争の予防・解決ということでは,国際契約紛争だけでなくハラスメント・雇用差別等の労働問題や交渉学などにも関心を持っています。
教員一覧(学部) 教員一覧(研究科) |