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太田原 準

担当科目 技術経営論

研究テーマ:集団の行動能力とイノベーション

企業や産業の成長や発展について研究していると、あまりにも多くの視点や切り口があってきりがないのだが、できるだけ様々な諸相から捉えることに努めてきた。幸い、私の専攻する経営史という分野は、企業や産業、経営や組織の変化をできるだけ長いスパンで、つまり歴史的に捉えるだけでなく、さまざまな国や地域、様々な時代、さまざまな理論的関心に基づいて捉えることを特徴とし、また推奨される分野であるから、その点で節操なく浮気性であってもそこはあまり責められない。ただ私がこだわっているのは、「産業を統一して」という点である。定点観測という言葉があるが、いわば定産業観測というものをやっている。
今の私の場合、統一しているのは二輪車産業である。あいつは所詮バイクしかやっていないと学会仲間から悪口が聞こえてくるが、19世紀のアメリカから21世紀のインドやアフリカまで、様々な視点や切り口から分析し、かつ対象とする産業や企業をその都度変えてそれを行うほど、私は賢くない。技術、戦略、マーケティング、生産方法、設備投資、生産組織、労務管理、資金調達、産業政策、流通組織、現場の技能、貿易摩擦、材料や部品の調達、販売政策、アフターサービス、これらはすべて企業や産業の長期的変化をとらえるための視点や切り口のうち、商学部的なものを挙げてみただけであり、これ以外にも山ほどある。つまり、私は産業を統一して、できるだけ多くの諸相に目を配りたいのである。通常の研究スタイルは、理論や切り口を統一して、できるだけ多くの事例やデータを分析するが、それをひっくり返しているだけともいえる。
二輪車なんぞ技術的観点から見た場合の人工物としては成熟しきっており、80年ほど前から大きなイノベーションはない。しかしながら、たとえば19世紀後半のアメリカ、20世紀半ばの日本、21世紀初頭のインドという時代も場所も民族もまるで違う空間を、100ccの小さなバイクを作って売るというビジネスを通してみたとき、何が見えてくるのかという問題は、決して小さなものではない。そこにあるものを突き詰めて表現するならば、企業組織を通じて発揮される「ここではないどこかへ行く力」であり、その違いである。私が見出そうとしているのは、イノベーションにも深く関わるが、もっと統合的な集団の行動能力である。その集団の行動能力(移行能力とも言いかえることができる)が、組織、社会、時代によって異なってくる理由について、企業組織を対象に探求することが、経営史の主題であると信じている。


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