佐藤 郁哉

担当科目 経営組織論、ビジネスリサーチ

研究テーマ:組織の社会学的分析・社会科学方法論

 組織と制度の関係が主な研究テーマです。また、主として社会調査の方法や技法についても実際の調査研究の体験を通して検討を進めてきました。
特に関心を持って研究を進めてきたのは、典型的な「営利企業」とは幾つかの点で異なる性格を持つ団体や組織(劇団、学術出版社等)において、ビジネス的な発想や手法が、組織を維持しまたその活動をより充実したものにしていくためにどのように生かされてきたか、という点です。
 この数年は、以前からよく「新公共経営(NPM: New Public Management)」などと呼ばれてきた公共政策の実情と今後のあるべき方向性という問題に取り組んでいます。
政府や中央官庁から公表される各種の文書には、「選択と集中」「KPI」「PDCA」など、企業経営の領域に由来するとされる発想や特定の手法を指す用語が見られる場合も多くあります。しかしながら、それらの文書には明らかな誤用や本質的な思い違いが含まれている例が少なくありません。「民間の知恵」と言われるものを公共政策の立案やその実行に生かしていこうとする考え方それ自体は、大いに評価されるべきものだと思います。しかし、それが生半可な知識や基本的な誤解にもとづくものである場合には、重大な結果を招いてしまうことが避けられないでしょう。そのような「ビジネスのモデル」の誤用の典型例に「大学改革」をはじめとする日本の高等教育政策があります。この点については、調査研究の結果を何点かの論文と著書という形で報告してきました。
社会科学の方法という点に関しては、自分自身の調査体験などを踏まえて基本的な方法論や具体的な調査技法について講義やテキストを通して解説してきました。特に重点を置いて説明してきたのは、経営現象や社会問題などについて研究テーマとそれに対応する仮説を設定した上で、自分の足でデータを集めて分析した結果を論文の形でまとめるまでの一連の作業におけるポイントと幾つかのコツです。高校までの「調べ学習」は、社会調査の実習体験としては非常に重要です。しかし、科学的なリサーチとしての調査研究をおこなっていく際には、その実習体験で得られた情報を従来の文献の蓄積の中に位置づけていかなければなりません。実際、そのような手続きを経ることによって、調査研究は「謎解き」としてさらに魅力的なものになっていくのです。