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商学部長挨拶
卒業生に聞く
Message&Interview 卒業生に聞く
人事コンサルタントビジネスで急成長。カリスマ創業者から社長を引き継ぐ。
エン・ジャパン株式会社社長鈴木孝二さん(1995年卒) 聞き手:商学部2005年度生H・Sさん 2006年度生T・Wさん
S 鈴木社長の職歴についてお聞かせいただけ ますか?
鈴木 大学を卒業して1995年に当時,日本ブレー ンセンターという120名くらいで28億くらいの人 事のコンサルタントをやっている会社に就職しま した。これが今のエン・ジャパンの前身なんです ね。その会社に新卒採用で入ったんです。当時は メインの事業がリクルートの代理店事業でリクル ートの商品を売っていました。Be-ingとかトラバ ーユとか。最近は全部インターネットになり,な くなったのですが,ああいうものの営業です。企 業を訪問して採用のニーズがあるかどうかと聞い て,ニーズがあれば提案して求人誌と呼ばれるも のに広告を掲載する。今はインターネットがあた りまえですが,当時は紙媒体で新卒の採用も「会 社年鑑」と言う冊子がドカンと家に届くんですよ。 電話帳みたいな束が。そこに会社の記事が載って いてハガキだけの冊子がついている。気に入った ところだけ書いて通ったら資料が来る。今みたい にWeb エントリーとか楽なものはないんですよ ね。そういうのを企業に販売するという営業をや っていましたね。
当時の日本ブレーンセンターは採用以外に教育研 修の事業,企業の人事制度設計,評価とか給与を 決める,昇格を決めるようなコンサルティング業 務もしており,入社して5年間は大阪で採用と教 育と評価事業の営業をやりました。2000年に当時, インターネットが少しずつ出てきてので,自らで 商品をもってやっていこうという思いの中,前身 の会社でインターネット事業を立ち上げ,それを 分社化,拡大していくためエン・ジャパンという 会社を設立しました。その時から東京です。 営業の責任者ということで,その当時は社員14名 くらい。営業は4名くらい。エン・ジャパンなん て誰も知らない。私は会社の設立上,取締役をや っていたんですが,十数名で一緒に営業をやって 採用をやって,誰も知らないようなところから, 徐々に大きくなって。世の中には多少知られるよ うな存在になって。今年3月に常務になって6月か らもともとのオーナー経営者の越智から引き継い で社長になった。オーナーが会長の体制で今は社 長をやっています。
S その時,どういう営業をされていたのか,どういうメリットがあると仰っていたんですか?
鈴木 基本的には企業が自分たちで採用するのは なかなか難しい。応募者を集めないといけないの で何らかのものを使わないといけない。リクルー トを使うか,うちを使うか,人材紹介業もある。 いろんな手法があるんですが,うちが一番強みに していたのは転職者,求職者,学生の人たちが本 当に求めている情報を伝えようと。基本的に求人 広告は効果が出ないとお客さんから怒られちゃう ので,いいことばかり書いちゃうんですね。本当 ではないことも含めて。それって入ったらわかる じゃないですか。いいことばかり書いて興味を持 って,よしんば入社をしたとしても,行って毎日 働いているうちに,「こんなはずじゃなかった。 全然,違うじゃん,事実と」。結局辞めてしまう 3 ことを繰り返している。それ,意味ないよね。 我々がやるべきことは何か。手間隙かかるけど, きちっと訪問をして,その会社の正直で詳細な情 報を提供する。いいことも悪いことも。我々のコ ンテンツを見ていただいたらわかるんですけど, 仕事のやり甲斐と厳しさ。厳しさは大事。厳しく ない仕事なんてなくて,いいことばかり書いてイ メージだけで入るより,ちゃんと理解してもらっ て入る。あとは文字だけでは伝わらないことは画 像で撮影し,あとは動画。リアルに写す方が,い くら言葉で「こんな会社です」と書くよりも写し た方がわかりやすいじゃないですか。よさも悪さ も。リアルに情報提供することを手間隙かけて質 にこだわってやってきた。結果,どういうことが 起こったか。我々のサイトを見て,きちんと理解 して応募していった人は当然,その会社のリアル な状況を知っているので認識のずれがないじゃな いですか。内定が出やすい。入った後にもギャッ プがないので辞めにくい。結果的に活躍する確率 が高くなる。
S 最初は悪いこと,マイナスの部分を情報と して出すことに対して抵抗とか,批判的な意見は なかったんですか。うまくいかなかった例とか は?
鈴木 無茶苦茶ありましたよ。それはほんとに啓 蒙活動です。「結果的に御社のためです」。企業は 「なんで我々はお金を出して悪いことを書かれな いといけないのか」。一見その通りですよね。で も本質的にはその会社にとっては絶対にプラスに なるはずなんですよ。その会社のリアルなことが きちんと理解できて,その上で認識にずれがなく て,結果的にその会社のためになる。それを一生 懸命伝え続けて理解してもらって,それで一社, 一社お客さんを増やしていった。
S 営業をしているメンバーの中ではやってい ることに対して,意識のずれとか,全くなかった んですか?
鈴木 もうほんとに信じて疑わなかったですね。 自分たちが手間隙か けてやってくんだか ら,絶対いいに違い ないと。飲食店でア ルバイトして裏側を 知っているから自分 はお金を出して食べ たくないという世界 があるじゃないです か。うちは仮に別の 会社でも,自分たちのサイトで人材を募集したい よねと。
S それってすごいですよね。すごいことだと 思います,ほんとに。
W 社長になって一番変わったことってなんですか。仕事をする上で。
鈴木 事業をやる以上,結果を出さないといけな い。これについては変わらないんですが,営業面 の業績を上げること以外にもやらないといけない ことがもちろんたくさんあって,それはきちんと 世の中に対して説明責任を果たすということでい うと,上場していますから開示情報をきちんと 出すこと。コンプライアンスの問題とか,社 員も1,100人を超えているので,そこに対する倫 理観の醸成とか,そういうところにも目を配らな いといけないですよね。あとは先々のことを考え なきゃいけない立場。今がいいとか悪いだけでは なく,3年後,5年後,10年後,どうあるべきかと いうことを考えなきゃいけない。また私は強烈な 強いカリスマ性を持ったオーナー経営者から引き 継いだんです。今の会社があるのは彼自身の強い リーダーシップによるところが非常に大きくて, かつうちの強みみたいなものは彼が自らの言葉で 社員に語り,一つずつ一緒に作っていったものな んですね。そういうものをきちんと引き継いで継 承していくことは私にとって強い覚悟がいること だと思っています。それだけじゃなくて社員が 1,100人を超えて強いカリスマ社長の経営のあり 方だけでは,これから先の拡大発展は多分ないと 思うので,そこを次の世代として新たな経営のあ り方を確立していく,これも私に課された役割だ と思います。
S 働くことに対して,新卒で,人事コンサル タントに興味を持たれたのは学生時代から問題意 識とか興味があったんですか?
鈴木 いや,全然なくて。小学生の頃から新聞記 者になりたくてマスコミばかり受けてたんです よ。アナウンサーになるとか新聞記者になるマス コミセミナーってあるじゃないですか。それに通っ てマスコミ受験して。新聞社とか一杯受けたんで すけど,狭き門じゃないですか。産経新聞に最終 残って,そこだけ残ったんだけど,最終でだめで, どうしようかなと思っていた時,当時,日本ブレ ーンセンターからハガキが来たんです。官製はが き。50円の一色の。「世の中ウォッチングセミナ ー」と書いてあって,全然意味がわからなくて。 会社名を見てもわからない。代表者を見たら越智 通勝と書いてあって,セミナーに行って衝撃を 受けた。「なんじゃ,この人は」って。実名バン バン入りで「こんな会社に行くな」とか「ここの 会社はこんなところが悪い」とか,いいとか,ズ ケズケ言っていて「この人なんなんだろう,一体」 と思って,気づいたら入っていた。あまり業種と かではなく。なんか,この人のもとで働きたい, 社員の人を見ていても,いきいき働いているし, 仕事楽しそうにしているし。私は別に大手とか全 然気にしていなかった。それで入ったんです。後 付けですね。人事とか人材とかは。やってみて楽 しかったね。
S 学生時代は何を勉強していたんです?
鈴木 ゼミは管理会計です。西田先生。地味な, すごい地味なゼミだったんですよ。重要文化財の 校舎,あるじゃないですか。クラーク館でゼミを やっていた。管理会計は学生時代にもっとやっと きゃよかったなと思います。今の立場になって。
W そのような中で「これはやってよかった」 というのはありますか?
鈴木 管理会計だったんですが,『リエンジニア リング革命』という,当時,Michael Hammer, James Champyの,あれがベストセラーになって, それくらいかな。知らない? あの時は衝撃的で したけどね。
鈴木 それくらいから企業をケーススタディでや るじゃないですか。花王がどうだとか,昔からそ ういうのはありましたね。昔から企業に対しての 興味,経営学部は直接的に企業の実名が出てきた りするじゃないですか。そこは商学部でよかった なと思います。すっごく会社,好きなんですよ。 ほんとに。伸びている会社は面白いじゃないです か。いろんな業種に行けるでしょ。うちの仕事っ て。だって人を扱うから。やったら面白いよ。
S 私も,それはいろんな会社に行きたくて。
鈴木 こんなふうにして利益出しているのか。利 益出している会社と,出してない会社があるんで すよ,同じ業界なのに。何が違うのだろうと思っ て調べたら「そこか」とか。ビジネスモデルその ものだったり,システム化だったり,いろんな要 素があるんですけど。その原型は商学部で最初に ああいうのを教科書を読むと実名が出てくるじゃ ないですか。ああいうのがきっかけでしたね。
W 同志社大学の魅力って,鈴木社長の目線か ら見たら何なのかなと。
鈴木 同志社の魅力ね。語弊があるかもしれない ですけど,何というのかな。バランスいい人,多 くないですか。要領がいいところとか。
S 就職活動の時,企業の方にも言われました。
鈴木 結構,自分でも周り見てても,そうだし, そこそこ,頭もよくないと入れないし,京大に行 くほどでもないけど。バランスは結構大事なこと で,フットワークとか,自分の立ち位置。あまり プライドを必要以上に持たないとか,自分もそう なんですけど。学歴でいったら上の人も一杯いる し,下でもないし。企業の経営からすると,ある 種,バランスのよさというのは大事なことだと思 います。
W 学生生活を送られた上でのいい思い出と か,一番の思い出は何かありますか。
S 学生生活ですか。学生時代は二つあって, 一つは文化。今から想像できないんですが,映画, 絵画とか。映画にはまっていて小説,文学とか。 思い切りそっちに振れましたね。マイナーな映画 に入り浸っていました。あとはアルバイトを飲食 店でやってたんですけど,どんどん任されて最後 は仕入れまで任されて。あれはすごい私の仕事観 をつくった原点ですね。お金をもらったら真剣に やるとか,結果を出すというのは,その時から思 ったんですよ。ビアレストランで残りちょっとの ビールになっている時,「どうですか?」と言う のと言わないでは売上全然違いますよ。私にとっ て時給は何も上がらないですけど。僕は絶対に言 おうと。これで売上を上げてやろうと。今も一緒 なんですよ。何も変わってなくて。アルバイトは すごくやってました。真剣にやってましたよ。い い加減ではなく,食うためとか,出会いのためと かではなく。
W やるからにはプロ意識を持って。
鈴木 そうです。任される領域が増えると,うれ しいじゃないですか。
W 今の学生が見習わないといけない部分だと 思います。
鈴木 何でもいいと思いますけど,僕はそこが楽 しかったので。仕事をして。結果にも現れるで しょう。
S そういう楽しさを知っているからこそ,今 のエン・ジャパンでもアルバイトから人を育てて いきたいと。
鈴木 そうなんです。私はリアルに自分の実体験 と重ねあわせて,その方がいいと思っています。
W それが今の社長の血となり肉となっている んだなと感じます。
S 仕事の原体験です。
W 最後に,同志社商学部の後輩へアドバイス とかメッセージをいただけたら。
鈴木 自分の考え,意見を持つって,結構,今は 難しい世の中になっていると思うんですね。情報 一杯あるし,いろんなことをいろんな人が言うし。 昔の方が自分の意見を持つのは簡単だったと思 う。意見の選択肢が少なかったのだろうけど。ど んどん情報化になって何か正しいか,よく分から ない時代に,ますますなっていると思う。経営で も,生きていく上でも一緒だと思うんです。その 時に自分なりの意思決定ができる軸みたいなもの を持てるように,そのためには別に「誰が何とい おうと,自分はこうだ,こうやっていくから,こ う言えるんだ」というものを,別に何でもいいと 思うんですけど,持ってほしいと思います。誰も とられないじゃないですか,価値観というのは。
W 自分なりの価値観とか,自己を持って生活 することを目標に。ありがとうございました。
(2008年12月9日,エン・ジャパン鞄結椁{社にて収録)

鈴木孝二(すずきたかつぐ)氏略歴:   1971年生まれ 愛媛県出身
    1995年3月 同志社大学商学部卒業
    1995年4月 エン・ジャパンの前身である株式会社日本ブレーンセンター入社
    2000年1月 エン・ジャパン株式会社設立と同時に、取締役に就任。
取締役営業部長として同社の急成長を牽引する。
    2001年6月 同社がナスダックジャパン(現ヘラクレス)にて株式上場を果たす。
    2008年6月 代表取締役社長に就任。
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